これは、埼玉県に住む40代の会社員、Hさん(女性)の恐怖体験談です。
主人の祖父の、13回忌の法要のため、久しぶりに主人の田舎に里帰りした時のことです。
早朝に車で家を出発して、高速道路を使い、休憩を取りながら約7時間の長旅です。
高速を降りてからは、風光明媚な街中を抜けて、一旦山道に入ると、つづら折りの道がしばらく続きます。
その日、付近は朝から大雨で、主人の実家まであと30分という頃には、前が見にくいほど雨足が強くなりました。
さらに山沿いの道を進んでいた時、後部座席で私の隣に座っていた、小学4年生の娘が突然
「どしゃげるぞ!」
と大声で叫びました。
その時、言葉の意味は分かりませんでしたが、とても娘が言ったとは思えない、しわがれた荒々しい咆哮に驚いて、主人が思わず急ブレーキをかけたその瞬間、目の前で土砂崩れが起き、間一髪で難を逃れました。
すぐにUターンして街へと戻り、その日はホテルに一泊して、翌日、別ルートで里帰りしました。
主人の話では、車の中で娘が叫んだあの声は、間違いなく亡くなった祖父の声だったそうです。
娘はその時、車酔いで気分が悪く、そんなことは全く覚えていないそうです。
そのあと、主人も私も、あの言葉の意味が分からなかったので、主人の祖母に尋ねると、「どしゃげるぞ!」は方言で「つぶれるぞ!」という意味だと知りました。