これは、群馬県に住む30代の警備員、Fさん(男性)の恐怖体験談です。
その頃私が警備の担当をしていたのは、とある駅のすぐそばに建つ、県が所有する公共のビルでした。
そのビルは東日本大震災以降、トイレや水道がいつでも使えるようにと、1階北側の通路だけ、24時間開放していました。
ところが、よからぬことを企む輩は必ずいるもので、時々、多機能トイレに男女が一緒に入って行くことがあり、その都度その行為を咎めに行く事も少なくありませんでした。
ある日、深夜0時を回った頃のことです。
警備室のモニターを見ていると、多機能トイレに入って行く男性と、少し間を置いて一緒に入って行く女性の姿が見えました。
カップルならイチャイチャしながら入って行きますが、こういう入り方をするのは大抵の場合、いわゆる援助交際やパパ活の類です。
(女遊びするならホテル代くらいケチんなよ)
そう思いながら、先輩にモニターを見続けてくださいと伝え、そこへ向かいました。
こういう輩は、現場を押さえてガツンと注意しないと、また同じことを繰り返します。
現場に到着して、ドアをノックしようとした時、すぐに男性が出て来ました。
ドアが開いた瞬間、中を確認したのですが、いるはずの女性の姿がどこにもありません。
すぐに先輩に「女がいないんですけど、先に出ましたか」と無線で連絡すると、先輩は震える声でこう言いました。
「お・・・お前のすぐ後ろにピッタリくっ付いて立ってるよ・・・」
急いで警備室に戻り、置いてあった粗塩を撒いて、朝の交代時間になるまで、震えながら過ごしました。