危機一髪

危機一髪

これは、東京都に住む50代の会社員、Aさん(女性)の恐怖体験談です。

今から10年ほど前のことです。

夏休みに息子と二人で、沖縄に遊びに行くことにしました。

すると、空港で飛行機に搭乗する直前になって、10歳の息子が突然、尋常でない泣き方で、搭乗を拒否しました。

「やだーーっ!乗らなーーい!飛行機燃えるーー!飛行機落ちるーー!!」

ロビー中に響き渡るほどの大声で叫んでいます。

周りの人の冷たい視線が刺さりましたが、そんなもの、もう慣れっこでした。

息子には発達障害があるので、こういう癇癪(かんしゃく)を起こす事も、珍しくありません。

ただ、一旦こうなるともうダメです。手がつけられません。

私は搭乗を諦め、チェックインカウンターまで戻って事情を説明して、預けていたキャリーバッグを受け取り、一旦レストランに逃げ込みました。

レストランの窓から、搭乗予定だった飛行機を見送った後、午後の便か、翌日のフライトに変更しようかなどと考えていると、キャリーバッグの合わせ目から、突然煙が出て来ました。

どうやら中に入れていた予備のバッテリーが発火したらしく、さらに悪いことに、現地で使うつもりだったスプレー缶のガスが漏れ、あっという間にキャリーバッグの中で燃え広がったのです。

幸い、店員さんと警備員さんのおかげで、火はすぐに消し止められたものの、万が一フライト中のバゲージルーム内で発火していたらと思うと、背筋が凍るような思いがしました。

私たちは、息子の癇癪(かんしゃく)で、一命を取り留めました。

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