東京都 主婦 Kさん(20代・女性)が体験したゾッとする話
それは去年の初夏のことです。
一人息子のユウタが5歳になり、あと1年足らずで小学生になるので、そろそろ自室で一人で寝れるようにと、都心の1LDKのマンションから、郊外の3LDKの一軒家に住み替えることにしました。
そこは小学校も近く、近隣には公園も多く、その上買い物にも便利な場所で、住環境は申し分ありません。
ただ、都心から少し離れたとはいえ、家賃は以前の倍以上になってしまったので、使える家具類はできるだけそのまま使い、買い足すものはリサイクルショップを利用して、できるだけお金をかけないようにしました。
ある日、リビングに置くソファが欲しかったので、主人と息子と3人でリサイクルショップを見に行くと、色もサイズも、座り心地も理想的なソファに出会いました。
特に気に入ったのは、足がちょっと長めでおしゃれなデザインだったことと、それ以上に、今後家族の一員になる予定のロボット掃除機が十分に入り込める高さがあることが、購入の決め手になりました。
主人も私もほとんど一目惚れで、同じく少し足が長めのテレビ台も購入を即決し、その日の夕方には両方とも我が家のリビングに置かれることになりました。
それから1ヶ月ほどが過ぎた頃から、次第に主人の体調が悪い日が多くなり、とうとう入院することになってしまいました。
それからというもの、一度退院してはまた短い入院を繰り返すようになり、せっかく購入したお気に入りのソファも、いつも主人が座っている場所に誰もいない日が多くなりました。
その上、この状況が続けば、主人は仕事を辞めざるを得なくなるかも知れません。
もちろん、私が働きに出れば良いのですが、主人の体調がこのままの状態では、息子の面倒を誰が見るのか、それもまた心配でした。
父親のいない寂しさを紛らわすように、一心不乱に遊ぶ息子を見ていると、なんだか切なくなってきます。
そんな息子は以前から、狭くて暗いところで遊ぶのが好きで、このところ100均で購入した自転車用のライトとおもちゃを持って、ソファの下に潜り込んで何やらモゾモゾと遊ぶのがお気に入りでした。
その度に私は「あぁ、早くロボット掃除機が欲しいな」と思いながら、ホコリにまみれた息子をコロコロクリーナーで掃除するのが日課になっていました。
ある日、またソファの下からホコリまみれで這い出してきた息子が言いました。
「ねぇママ。ここに『ろーろーる』って書いてあるよ」
「ろーろーる?」
「そう。ローロール」
初めはなんのことだかさっぱり分かりませんでしたが、最近、ひらがなとカタカナを読み書きできるようになった息子が、ソファの下に書かれた取扱説明書のようなものを読んだのだろうと思いました。
「ローロール・・・ねぇ、ユウタ、それ、どんなふうに書いてあるの?」
せっかく読み書きできるようになった訳ですし、ここは勉強のためと思い、試しにお絵描き用の紙とクレヨンを渡すと、息子が知るはずもない、一文字の漢字を書いて私に見せました。
「ロ」の右上にもう1つ「ロ」、その下に「ル」・・・
口偏に・・・兄・・・
赤いクレヨンで書かれたその文字を目にした瞬間、全身から血の気が失せるような感覚に襲われ、私は慌ててソファをひっくり返してみました。
すると、ソファの裏に貼ってあったのは、赤黒く書かれた「呪」という文字と、その下に判読できない模様のような文字が書かれた、古びた長方形のお札でした。
そこはちょうど、いつも主人が座っていた場所の真下です。
私はそのお札を丁寧に剥がし、すぐに息子を連れて近くのお寺に行き、お祓いと貼ってあったお札のお焚き上げをしてもらい、代わりに貼る新しいお札をいただきました。
住職さんが仰るには、そこに座る誰かが不幸になるようにという、念が込められていたのだろうということでした。
その後、主人が退院してからというもの、次第に体調も良くなって、今のところ平穏無事に暮らしています。
おかげさまで、無事購入することができたロボット掃除機は、毎日息子と戦闘を繰り広げています。
皆さんも中古のソファを購入する際は、見た目や座り心地だけではなく、座面の裏側も注意深く確認することをお勧めします。